多焦点眼内レンズについて
今年の冬は雪が降らないまま過ぎていきましたね。
私は1月31日から新潟で開催された硝子体手術の研究会に参加してきましたので雪景色を見ることができましたが、それでも去年の新潟にくらべると少ないものでした。
さて、最近は先進医療が終わるということで「多焦点眼内レンズ」を用いた白内障手術の話題が多くなっています。
当院でも1年以上前からわかっていましたので当ブログでもたびたび話題にしていました。
最近は保険会社から多焦点眼内レンズを用いた白内障手術が先進医療から外れるという告知がされているようです。
ですので全国的に一気に駆け込みで多焦点眼内レンズを用いた白内障手術希望者が殺到しているようです。
いくつか注意事項を挙げておこうと思います。
①その眼科が先進医療機関認定を受けていないと多焦点の手術を受けても保険がおりませんので注意が必要です。
また、認定を受けていてもこれまであまり経験がない眼科を選んでしまうとうまくいかないこともあるので注意が必要です。(術後の仕上がりに少し癖があるので多数経験がある眼科の方がそれをわかって検査、レンズ選びをしてくれるはずです)
実際にはホームページではまったくわからないので眼科選びは難しいですよね。。。
ちなみに当院の昨年1年間の多焦点眼内レンズを用いた白内障手術の件数は227件でした。
②すでに以前白内障手術を受けて単焦点眼内レンズが入っている方、
多焦点眼内レンズに入れなおす手術は可能です。
しかし、かなり難易度がありますし、うまくいく保証はやってみないわかりません。
時間が経つと眼内レンズと水晶体嚢(レンズが入る袋)が癒着するのでそれを破らないように丁寧にはいでレンズを切って取り出す必要があります。
そのため、やってもうまくいかない可能性もありますが、それでも手術を受ける勇気がある方でないとレンズの入れ替えはおすすめできません。
これはどんなに手術が上手な眼科医であっても同じことです。
安易に、入れ替えの手術ができますとうたっている眼科はないとは思いますがもしあっても飛びつくのは危険です。
また、乱視があった場合にはなおさらお勧めでいません。
なぜなら乱視を矯正できる多焦点眼内ンレンズがありますが、それを入れるのは入れ替えの際には尚更難しいからです。
乱視用はレンズを入れる向きが決まっています。
ところが水晶体嚢が癒着していれば必要な向きに入れられない可能性があるからです。
ということで手術を受けてみたものの、結局同じ単焦点眼内レンズしか入りませんでした、なんてオチは辛いですから。
当院では単焦点眼内レンズから多焦点眼内レンズに入れ替えたことはあります。
条件によっては可能ですのでどうしても気になる方はお早めにご相談ください。
先日も、ご相談いただきましたがその方は8年前に白内障手術を受けられており、また乱視がありましたので上記の理由で入れ替えの手術は難しい旨ご納得いただきました。
③4月からは選定医療というものになります。
これは手術代は保険で行い、多焦点眼内レンズは別途自費で購入するうものです。
ただし、またレンズメーカーも眼内レンズの価格を決めかねているようで、どの眼科でもどのように費用がかかるのかわからないのが現状です。
したがって、自費で多焦点眼内レンズを用いた白内障手術を受けようと考えている方はもうしばらく待った方がよいかもしれません。
④すでに単焦点眼内レンズが入っているがどうしても多焦点眼内レンズにしたい方。
当院ではアドオンレンズを用いた手術も行っています。
これはすでに入っている単焦点眼内レンズの上に専用の多焦点眼内レンズを重ねて入れる手術です。
成績はよいのでお勧めできます。
これは自費になりますので詳細はご相談ください。
乱視も矯正できます。
白内障手術は一生に一度のみの手術です。
先進医療が終わるからといって慌てて手術を受けるのではなくしっかり考えて手術を受けるようにして下さい。
もちろん多焦点眼内レンズを用いた白内障手術は素晴らしい技術です。
でも手術ですから安易に考えるのもよくないです。
ご質問とうございましたらホームページのお問い合わせからもメールできますのでお気軽にどうぞ。
福岡で眼科手術を受けるなら、
福岡県粕屋町の川原眼科へ。
お待ちしております。