九州大が開発した眼科手術補助薬が薬事承認
九州大学眼科が開発した、眼の奥の手術である「硝子体手術」の際に使用する薬剤がアメリカでの臨床使用承認を取得しました。
大学発で独自に開発した薬品がアメリカで承認を得たのは初めてという事で大きな話題となっています。
今後は日本でも承認を取得し、使用が可能となります。
この薬剤は、「ブリリアントブルーG」といって、
「黄斑上膜」や「糖尿病網膜症」「黄斑円孔」などに対する硝子体手術の際に行う「内境界膜剥離」という操作を、安全に、かつ確実に行うためのものです。
この薬剤が開発される前までは、別の薬剤が使用されてきましたが、その薬剤は実は網膜に障害を起こすことがその後の研究でわかってきていました。
いくら安全に容易に手術を行うための薬剤とはいえ、網膜に障害を起こすようなものでは本末転倒です。
そのため、それに代わる薬剤として九州大学眼科が独自に開発したという経緯があります。
今後は全世界の硝子体手術で使用されることになります。
ではこれまでその薬剤は使えなかったのかというとそういうわけではありません。
当院の硝子体手術でも全例このブリリアントブルーGを使用して硝子体手術を行っています。
なぜ、当院で使えるのかというと、実は私もこの薬剤開発において九州大学大学院在籍中に研究を行い論文を書いています。
内容はブリリアントブルーGが細胞レベルで障害を引き起こすのかどうか、また、以前に使用されていた薬剤と比較して毒性はどうかというものです。
結果、非常にブリリアントブルーGは安全性が高く有用なものであることがわかっています。
したがって、私はこのブリリアントブルーGの精製法と使用法をよく知っているのです。
当院で使用する薬剤は私が事前に精製して準備したものを使用しています。
いまだに硝子体手術の際に、以前の網膜に障害を及ぼす薬剤を使用している眼科もあるようですが、承認されれば全国で使用できるようになるので手術を受けられる方も安心かと思います。
また、この薬剤は硝子体手術だけではなく、「過熟白内障」の手術の際にも有用な薬剤として使用することができます。
このような世界の眼科界にとって重要なものの開発に関われたことは非常に貴重な経験となり、また今の眼科臨床の礎になったともいえます。
福岡の白内障手術、硝子体手術といえば、
粕屋町の川原眼科へ。